【書評】「マレーシア航空機はなぜ消えた」を読んで世界の空輸の危うさを知る
チャルゲです.
みなさんは飛行機によく乗りますか?
僕は年に数回,旅行のときに乗るのですが,一番怖いのは事故ですよね.
飛行機事故は空の上の出来事なので,起きたらほぼほぼ助かるのは絶望的です.
ひどい場合だと,機体と乗客・乗員が見つからないという結果になることもあります.
最近だとインドネシアやマレーシアで機体も乗客も見つからないという事故が起きています.
そんな機体と乗客・乗員が忽然と消えた事件をテーマにした「マレーシア航空機はなぜ消えた」という本について,今回はお話したいと思います.
「マレーシア航空機はなぜ消えた」という本について
この本は元日本航空の機長である杉江 弘さんに書かれた本です.
首相フライトを担当するなど非常に信頼を置かれるパイロットなのですが,その方がマレーシアで2014年に起きたマレーシア航空機の失踪事件について書いた本がこの「マレーシア航空機はなぜ消えた」です.
問題となった事件
2014年3月8日深夜,マレーシア航空370便が突然通信を断ちました.
そして,翌朝から大規模な捜索活動が始まりますが,機体の一部すら見つからないという異常事態に発展します.
さらに,航空機の主要な通信機器であるエーカーズが切られていた事実が発表され,マレーシア政府は大混乱に陥ります.
航空史上屈指のミステリーと言える事故で2018年現在も真相は解明されていません.
真相に対する考察
この本では著者が長年のエアラインでのパイロット経験から,事件の真相に迫っていきます.
通信手段が切られた原因,乗務員のバックグラウンド,MH307便が飛行した経路などなど.
様々な観点からこの事件の真相に対して考察を行い,非常にそれが面白く納得感があります.
特に最後の章で紹介される,杉江さんの長年の経験に裏付けられてた考察は非常に読みごたえがあります.
エアラインの危険性
この本では飛行機の持つ危険性についても言及されています.
飛行機の構造にどのような欠陥があるのか,運転の自動化にどのようなデメリットがあるのかなど鋭い意見が多く書いてあります.
自分が個人的に心配だなと思っていたことに関しても,書いてあるのでこれらも非常に面白いです.
また余談ですが,僕は大学で航空工学を勉強しています.
そのため,航空関連の話題には普通の人よりも敏感です.
日本では安全対策がしっかり行われているために,死亡事故は少ないですが,世界に目を広げると一年に数回のペースで飛行機事故が発生しています.
これから航空業界は世界的に発展していくと言われていますが,僕はシステムの脆弱性に関してはどうしても不安を覚えます.
航空機の勉強をしているので,技術的不備による事故が起こる確率は限りなく低いことはデータから分かっているのですが,問題は悪意を持った人間が飛行機に乗り込んだときです.
空の上の密閉空間である飛行機で悪意を振りかざせば,乗客・乗員はひとたまりもありません.
いくらセキュリティが発達しても,それは避けることができません.
その最たる例が2001年の同時多発テロ事件ですし,飛行機で国の主要部や汚染物保管地域に突撃すれば未曽有の被害が予想されます.
特にネタバレになりますが,機長が悪意を持った場合.
これは本当に手の打ちようがありません.
このような事態に対処できるシステムの構築を考えなければならないと感じます.
まとめ
少し不安をあおるようなことを書いてしまいましたが,飛行機は非常に安全な乗り物です.
死亡率は車や電車に比べて圧倒的に低いです.
アメリカの空輸安全委員会によると乗った飛行機が墜落する確率は0.0009%だそうです.
ついでに一生で車の事故で死ぬ確率は0.6%だそうです.
この数字から分かると思いますが,飛行機はめちゃくちゃ安全です.
なので安心して乗ってくださいね(笑)
この本は航空関係の人間でなくても理解できるように,非常に分かりやすくて丁寧に書かれています.
単純に一つの読み物としても面白いし,航空関係の知識を付けるという意味でも楽しむことができます.
ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?